ヒゲワシの天尾だと
思います。
矢羽根2枚は取れそうな
巨大な羽根です。

でも、根元に近いと
羽軸が太過ぎますので、
実際に取るのは1枚だけです。
ヤマドリの尾羽根です。
これは亜種のシコクヤマドリで、
白い部分の黒点が目立ちます。

派手な模様ですが、大変弱い羽根です。
キンケイかギンケイの尾羽根です。

普通は使われていませんが、
もっと派手な目玉模様のセイランの
矢も見たことがあります。
ネコワシの矢です。
9.黒鷲

 黒鷲といっているものには2種類ありました。
 ひとつは今では見ることがあまりないと思いますが、
 カラスの羽根状の光沢があるもので、あまり丈夫ではありません。

 一般的な黒鷲は大変厚く硬い羽根で、とても丈夫です。
 比較的安価なので、学生には向いています。
 最近では漂白して様々な模様をつけたものも売られています。
 この鳥は、手羽根も尾羽根と同じくらいに丈夫ですので、
 練習用としては大変お買い得だと思います。

 はげわしの仲間のようです。

10.ヒゲワシ

 灰色の大変丈夫な羽根で見た目もそれなりに良く、模様の出た手羽根も時々あって、
 以前はよく見ましたが、最近ではほとんど流通していないのではないかと思います。

 とても大きな鳥で、はげわしの仲間のようです。

11.ネコワシ

 鷲と言ってもふくろう類で、黄色と黒の独特の色合いをした切符です。
 ふくろうは音もなく飛ぶと聞いていますが、羽根の表面に細かな毛が生えており、
 空気抵抗が少ないように思われます。
 最近ではあまり使われていません。

12.白鳥

 白鳥で使われるのは、もっぱら手羽根です。
 特に、礼射用として使うのは、はさみを入れないで使うナタの櫂方になります。
 巻藁用には風切の櫂方も使います。

 その他の羽根は矢にする時にはさみを入れるので、白い七面鳥と見分けにくくなります。
 七面鳥との違いは、水鳥特有の空気を含みやすい構造で、
 手羽に光を当てて斜めから見ると光って見えるのですが、
 羽根の場所によってはほとんど判らないと思います。
15.七面鳥

 最近になって弓を始めた人の中には、七面鳥しか使っていない人も多いと思います。

 私が始めたのは昭和40年代の後半ですが、高校生で初めて買ったのが熊鷲の手羽根のジュラ矢で、
 大学生の時には磯鷲の尾羽根ジュラ矢と犬鷲櫂方の尾羽根の竹矢でした。
 私よりも数年先輩の人は、高校生でも竹矢があたり前で、粕尾などを使っていた人もいたようです。

 七面鳥は羽根が硬く脆く、風合いも鷲鷹に劣りますが、現代は羽根選びができる状況ではなくなりつつありますので、
 高段者も使わざるを得ない時がくるかもしれません。
 しかし、使い勝手は大型の鷲鷹類とはかなり違うので、弓道の伝統文化の面を知っていくためには、
 できれば手に入るうちに七面鳥以外の羽根や竹矢を使ってみるのが良いかと思っています。

 世界では様々な品種の七面鳥が飼育されているようですので、現在は細かい切り符と白の二種類しか使われていませんが、
 今後はもっと変わった模様の矢が出てくるかもしれませんし、染める技術も高度化していくと思います。
 釣具店に行くと、擬似餌製作用に七面鳥を中心とした鳥の羽根があり、矢に使えそうなものも見受けられます。

16.コウノトリ

 昔はコウノトリの尾羽根も礼射用に使われたようですが、大変弱いものです。
 尾羽根は白い柔らかで、巻藁礼射であれば逆立ちそうな気がします。
 ただ、貴重な鳥ですので、今では現物を見る機会はほとんどありません。

17.サイチョウ、セイラン、ガチョウ、キンケイ、ギンケイ、その他

 私の周りではあまり見ることがないのですが、最近はいろいろな鳥の羽根が使われています。
 羽根模様の染めや印刷の技術が発達してきていますし、七面鳥ではあきたらない人は、
 今後もいろいろと矢羽根を研究していくことでしょう。
13.トキ

 言わずと知れたニッポニア・ニッポンですが、かつては矢羽根として使われました。
 私も見たことがありますが、古いものはすっかり色は抜けていて、真っ白になっていました。
 保存の良いものは見事なトキ色で、軸の近くと端では濃さが違ってとても奇麗でした。
 ただ、とても弱そうですし独特の色合いなので、使いたいとは思いませんでしたが。

14.ヤマドリ

 山鳥は尾羽根が使えますが、とても弱いですし、模様が派手なので、普段の的矢としては使えないでしょう。
 十数本ある黒い横線のそばの白い部分に、斑点のないものを良しとするようですが、
 私の持っている、亜種のシコクヤマドリの羽根には斑点がたくさんあります。

 昔から大量に捕獲されている鳥ですので、羽根の入手も楽だったようで、征矢に使われたようです。
左は白鳥のナタの櫂方で、
石打と同様に鋏を入れないで使います。

上は白鳥ですが、鋏が入っており、
七面鳥などとの鑑別が難しくなります。