蟇目矢 (ひきめ や)

 木製の大きな根です。
 中は空洞になっており、幾つかの目と言われる穴が明けられているので、
 飛ばすと「ホー」というような音が出ます。
 このため魔除けの意味を持たせた儀式などに使われます。

 材料は桐や朴ということなので、旋盤を使って幾つか作ってみましたが、
 朴で作るとちょっと重くなりすぎて、大きなものには向いてないと思います。

 桐は大変加工しやすく、仕上げの紙やすりがけなども楽ですが、
 難点は大変高価な材料だということです。

 目(穴)の位置によって音が変わるということなので、
 これまで20個ほど作って試していますが、
 場所や入り口の角度が悪いと全然音が出ないこともあります。

 羽根は三立羽でも四立羽でも問題なく音が出ました。


神頭矢 (じんどう や)

 硬い木の小さな塊を矢の先に付けたもので、
 物に刺さることではなく、破壊することを目的とした矢です。

 板を割る小笠原流の三々九手挟みや、
 作り物の鹿の何処に的中したかを競う草鹿などで使われます。

 日曜矢師としては製作するのは比較的楽で、
 旋盤がなくともドリルがあれば作れるかもしれません。


射流し矢 (いながし や)

 いかに遠くまで飛ばすかを考えた矢です。
 箆が細く軽く、箆張は強く、羽根は小さく、
 重心は末釣合いであることが良いと言われています。
 私の試した範囲では、箆が多少重くても、
 羽根の抵抗が少ないほど有利だと感じました。

 普通の的矢の重心は一寸本釣合い(いっすんもとつりあい・・・
 重心が中央より1寸先寄り)あたりが普通ですが、
 この矢は重心を筈側にすることで、
 後半の飛びは滑空させて飛距離を稼ぐものと聞いています。

 ちなみに、矢は羽根がなければどこに向かうかわからず、
 しかもその辺にすぐに落ちてしまいます。
 羽根が無くて羽軸がついてる程度でも格段に矢飛びは安定するので、
 離れの善し悪しも影響しますが、小さくとも羽根の存在は重要です。
正式な様式のもの
ではありませんが、
一応、音が鳴って
飛ぶ蟇目矢です。
試作した蟇目です。
正式な様式のものでは
ありませんが、神頭です。
特殊な矢、、、ではありませんが、
手近な矢づくりの入門編として、
ミニ矢作りをしてはどうでしょうか。

この写真の矢は、古い方法に倣って節を筈にしています。
その他は普通の矢と同じように作っています。
羽根は七面鳥を使っています。

使わなくなった箆や金属シャフト、羽根を使えば、
いろいろと楽しめます。
特殊な矢