・石打の斑(ふ)


 石打は価格が高くて、私などは「石打でありさえすれば」というような感じで、
 以前はなかなか落ち着いて斑(模様)まで吟味できないでいました。

 でも、どうせなら冷静に気に入ったものを選びたいですね。

 写真は犬鷲の石打ですが、白い所に黒い斑点があります。
 好みでしょうが、この方が良い物だというお話もあります。

 そのほか、白と黒の境の形が揃っていてほしいとか、
 羽根の高さが弓の強さに応じて揃っているのが良いとかも見所でしょうか。

 石打は櫂方なので、犬鷲の白い部分もかなり黒っぽいのが普通ですが、
 ごく希にすごく白いものもあります。
 とてもきれいなのですが、揃えるのはきっと無理でしょうね。

 最近では、綺麗に4つ矢が揃っているものは、ますます高価になりました。
・羽根の傷

 左の写真は、虫食いです。
 写真にすると判りにくくなっていますが、
 羽根の裏側がかじられています。

 生きた鳥にこのような虫がつくことはないでしょうから、
 その後の管理が大事でしょう。

 ちなみに竹(箆)も、気を付けないと虫にやられてしまい、
 知らずに使うと危険なこともあります。

 右の写真は羽軸を削り過ぎたものです。
 羽軸は低くする方が見た目と性能は良いので、
 矢師のさりげない腕の見せ所(かつ見所)です。
・削り跡

 これは角箆のようにも見えますが、皮残しの箆の削りと残しの境目です。

 「削りっぱなし」になっているのですが、ところどころにこのような小刀の削り跡が見られます。

 小刀を軽く握って削った時には、小刀が一定の速度ではなく、
 くっくっくっといった感じで、ごくわずかですがリズミカルに速度が変わり、
 一定間隔でこのような跡が残ります。

 角箆でも見られると思いますので、お持ちの方はご覧になってみてください。

 ちなみに、私が削っても、めったにこのような跡はできません。。。
・羽根のサック


 古い矢羽の写真を見ると、左の写真のようなサックを使った留め方で、
 割った羽根をセットにして見せていることがあります。

 このサックは、犬鷲などの大型の鳥の羽軸の根元を切って、
 それに金紙などを巻いて使ったもののようです。

 羽軸の根元は左下の写真(これはハチクマのホロ)のようになっています。
 飛翔を支える部分なので、とてもしっかりしています。
矢の雑記帳1
・似てはいますが


 左は犬鷲の尾羽です。
 ちょっと見ると上の3枚と下の3枚は似ているのですが、
 実際に矢になると、かなりの違いになります。

 上は、おそらく天羽あたりで、開きに似ていながらも、
 ちょっと全体に黒っぽくて、全体に斑点があります。

 下は、白い部分の大きな開きです。
 矢になって、はさみが入ると上と同じ大きさになりますので、
 切り落とす部分を紙などで隠して見てもらえれば、
 違いがわかるものと思います。

 仕上がると、上は高段者のちょっとしゃれた?普段使いから射会用、
 下は礼射用といったところではないでしょうか。
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矢の雑記帳は2ページあります。