矢師の方の力を借りながら
変わった矢を作ってみました。
射付節の下(矢先側)の部分です。
書いてあるのは荒矯の後に書かれた重さで、
十三は十匁三分(1匁=3.75gなので、約38g)のことです。
この竹は、荒矯後にある矢師の方から譲ってもらったもので、
私が電熱器で190度ほどの熱をかけ、焼き締めています。
私は矯めができないので、別な矢師の力をお借りして
まっすぐにしてから加工しました。
火入れする前に火箸で節を抜きますので、
竹の両端は焦げています。
芽は、荒矯の熱で焦げています。
丸刃の彫刻刀で落として、
きれいな面を出しました。
4つ矢分の竹を用意しましたが、重さは揃ったものの、微妙に節がずれているほか、太さがちょっとばらついていたので、
2本を選んで1手にすることにしました。
節の低い竹なので、あまり削らなくても離れの際に手には当たりにくいことから、概ね中央の写真の程度しか削りませんでした。
節の上が膨らんでいるものについては、右の写真のように削って、なるべく箆がまっすぐになるようにしました。
(節の上より下が細くなっていますが、普通の丸箆は、この細い部分を基準とするようなかたちで全体が削られます。)
40グラム以上の重い矢を作って飛ばして見たいと思い、竹を選びました。
また、なるべく手を加えない矢が欲しかったので、皮を全部残そうと考えました。
なお、普通は必要な箆張を確保しながらなるべく軽く作るので、皮を残すのは一部分になります。
箆を切る時は、回転させながら鋸を当てます。
一周した時にずれていると筈が斜めになりますので、簡単ですが気を遣う作業です。
最初にガイドがわりに浅く挽き、左の写真のようになれば、右のようにきれいに切れます。
竹の断面を見ると、密なのは外側だけなのがよく判りますね。
私の矢は104.5cmに仕上げていますので、
箆は102cmに切断しています。
今回の箆は、この長さで一本36gです。
なお、矢の重さに1グラム程度のばらつきがあっても、
そうと知らなければ気づかないくらいの差ですので、
秤は1グラム刻みでも何とか使えます。
次に筈を入れます。
竹矢の場合は、太さが一本ずつ違いますので、
外径より少し太い筈を選び、
その筈の差し込み部分の太さと形に合わせて
小刀で竹の内側を削っていきます。
竹を削り過ぎると抜けやすくなりますし、
削り足りないと筈を入れる時に、割れてしまいます。
筈を軽く差し込んだ時に、左の写真くらいになるのが
良いのではないかと思います。
また、箆の端は写真のように麻を巻いて割れ止めにします。
麻の仕掛け緒を濡らしたり舐めて巻けば、簡単に止まって、
乾くと竹を締め付けます。
これをしないと、実にあっさり割れが入ってしまいます。
矢の自作工程は3ページあります。
矢の自作工程1